ハラショー!
−ブスオ・ショック!!−
序章 オレは ハラショー!
オレの 名前は ハラ ショウゴ。
人呼んで ハラショー。
この町に 引っ越してきて、三ヶ月に なる。
小学校4年生。
身長165センチ、体重80キロ。
我ながら なあんて 堂々とした 体格だ。
デブと言う ヤツもいるが、
まったく 気にしない。
オレの 尊敬する 父さんが
こう 言うからだ。
「いいかぁ、ショウゴ。
昔はなァ、飢饉で 餓死する 奴が
たーくさん いたんだ。
お前は 江戸時代の 理想の 体形だ。
貧相な ヤセよか ずうっと いい!
体も 心も デカい男に なるんだぞ!」
「飢饉」、キキンと 読むんだけど、
天気とか ずっと 悪くて、お米とか
食料がとれないことを いうんだって。
父さんは 身長185センチ、体重百キロ、
ホント 立派な 体格だ。
不動産屋の社長で、地声が デカイ。
その 父さんから 聞いた話 なんだけど、
人類が 食べものに 困らなくなったのは、
長い歴史から 見れば
つい 最近のことらしい。
江戸時代でさえ、
たくさんの人が 餓死したという。
食べる物がない なんて、
オレには 想像もできない。
オレの 大好物は 肉!
とくに
焼肉は 最高だ!
毎日でも オッケー。
料理しながら 食べられるので、
母さんにも 好評だ。
母さんは 背が高くて、しかも
スマート。
子どもを 三人も産んだのに
結婚前と 体形が 変わっていない。
美容オタクの 母は、それが 自慢だ。
「オタク」というのは、
周りの人から 「困ったもんだ」と 言われるほど、
夢中になってしまう人のことだ。
ほんの少しでも 体重が増えると、
すぐに
ダイエット。
サプリも 大好きだ。
それに エアロビクスが 趣味。
母さんが 自分でやるのは いいけれど、
オレにも しつこく 勧めるので 困る。
レオタード着て、
「ワン、ツー」なんて 恥ずかしくって!
オレが やってるのは 柔道。
こういうのが 男のスポーツって 感じだろ?
「おう、ハラ。どうだ、お前、
相撲部屋行って 横綱にってのは?」
師範からも 期待されてる。
確かに 相撲は 男のスポーツだ。
だけど、フンドシが ユニフォームってのが ちょっとね。
でも、レオタードよりは マシだな。
オレが 最も カッコイイと思うのは K−1だ。
「え〜っ、危ないワヨ〜」
母さんは 許してくれそうにないが。
母さんは 美容室に行くのも 大好きだ。
ヘアスタイルは ロングの巻き髪。
シャンプーのコマーシャルに 出てくる 女の人みたい。
「とぉっても 三人も お子さんが
いらっしゃるようには 見えませんね〜!」
人から こう 言われるのを 生き甲斐に している。
「お前の 母ちゃん、イケてるな!」
友だちも うらやむ
オレの 自慢の 母さん なんだけど、
困るのは オレを ヤセさせようと することだ。
一緒に ジョギングしようと 言うので、
一週間ほど 続けた。
母さんは 自転車で 走っただけ なのに、
それでも 少し 体重が 減って 満足そう だった。
オレの方は といえば ヤセる どころか
ますます メシが うまくなり、
かえって 体重が 増えてしまった。
筋肉痛には なったけど、
まあ、これは 我慢できた。
走るだけでは オレは ヤセないと 見ると、
「じゃあ ダイエットも!」ってことで、
野菜ばっかりの 貧相な食事に されてしまった。
これには、滅多なことじゃ メゲないオレも、
本当に 参ってしまった。
ハラが減って ハラが減って、どうしようもない。
どうにも 我慢できなくて、
夜中に 冷蔵庫 アサってたら、
また 体重が 増えた。
そのうち 母さんに 見つかってしまった。
「まあ、まあ。こいつは 今、成長期なんだからぁ…」
父さんが 説得してくれて、
やっと 母さんも あきらめた。
しかし、それからも、
やれ、「ヤセマシンを こげ」だの、
ハムスターみたいに
「ランニング・マシンで 走れ」だの、
いろいろと やかましい。
オレは 家では ゆっくり
ゲームが したいんだけどなぁ。
オレには 兄と 妹が いる。
マサヒコ兄ちゃんは、顔も 体型も
母さん そっくりだ。
スマートで 背が高く、色白。
まさに 今時の 男前だ。
頭がよくて、話も 面白い。
その上、テニスまで うまいとくれば、
女の子が ほっとく わけがない。
バレンタインには チョコの山が できる。
おかげで オレと妹は、チョコレートの 食い放題。
しばらくは チョコを買う 必要がない。
幼稚園のころから モテモテで、
女の子から 手紙を もらったり、告白されたり。
兄ちゃんが
小学生のころ、
母さんは かなり 真剣に 言ってた。
「マアちゃん、ジャニーズに 応募してみない?」
でも、兄ちゃんは、
「僕は お医者さんに なるんだ」
まったく 取り合わなかった。
今、彼は 高校一年生。
私立の進学校に 通っていて、
医学部めざして 勉強中だ。
成績も トップクラス。
わからないことを 聞けば 一発で 教えてくれる
頼りになる 兄貴だ。
年が離れている せいか、オレは 兄ちゃんとは、
ほとんど ケンカしたことは ない。
しかし、
「お前なあ…」
しょっちゅう あきれられる。
妹は 小学校三年生。
年子のせいか、
こいつとは ケンカばかり している。
オレんちは 七人家族なので、
ケーキを 切ったとき、必ず 余りが出る。
その 余りの一切れを 奪い合う ライバルだ。
ルミって いうんだけど、
ナマイキで つっこみ ばかり 入れてくる、
オンナには ありがちな タイプだ。
顔は 父さん、母さんの 両方に 似ている。
背は 高いけど、
デブとも スマートとも 言えない。
体型も 両親の中間で、
性格同様、がっしりしている。
オレとは 別の、
女ばっかりいる 小学校へ 通っている。
ウチでは 両親のことを、
「父さん、母さん」って 呼んでるんだけど、
ルミのやつ、学校では 一応、
「お父様、お母様」ってことに してあるようだ。
ピアノに
バレエ、英会話も 習っている。
バレエの 発表会で 踊るのを 見たけど、
体型が ゴツイもんだから、
白鳥っていうよりも ダチョウって 感じだったな。
なんと、母さんは コイツを
理想のレディに 育て上げる つもりらしい。
「それは どうかなぁ」とは思うが、
まあ、健闘を祈る。
そういうわけで
妹のルミは 遠くの学校に通っている上に、
たくさんの習い事で、かなり 忙しそうだ。
オレは 地元の小学校に 通っていて、
習っているのは 柔道と 水泳を 少々。
おかげで 友だちとも のびのび 遊べる。
ほんと、オレって ついてるな。
オレの家族は、
ほかに じいちゃんと ばあちゃんがいる。
じいちゃんが 若いころ、
前に 住んでた町で
不動産屋を 始めたらしい。
初代社長のじいちゃんも、
今では 引退して、
ばあちゃんと の〜んびり、
好きなように 暮らしている。
お寺巡りに 温泉巡り、もちろん ゴルフも。
オレが 時代劇を 一緒に 見ていると、
じいちゃんは とても うれしそうだ。
いろいろと 教えてくれる。
ばあちゃんはといえば、
こちらは 健康オタク。
毎日、健康番組を 欠かさず見ては、
いろいろと 試し、
オレたちにも 食べさせる。
二人とも、オレが 叱られたり 失敗したりすると、
さりげな〜く なぐさめてくれるんだ。
オレは 次男だけど、
兄ちゃんが 医者になるって言ってるから、
オレが 会社をつぐと 期待して くれている。
オレも、「よ〜し、がんばるぞ!」って 気持ちなんだ。
第一章 ブスオ・ショック
オレが 転校して 新しく通うことになったのが、
テングヤマ小学校…
この先は、
新風舎刊 「ハラショー −ブスオ・ショックー」
廣実伽良珠著
を ご覧ください。
posted by カラス夫人 at 17:41|
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